2010年02月10日

いっそゆりかごから墓場まで面倒見たらいかが?無縁社会、無縁死3万2千人の衝撃。

前回に続いてNHKスペシャル
「無縁社会・無縁死3万2千人の衝撃」を見て
書き足らなかったことを書いてみる。
え、しつこい?

もうひとつ孤独死が増えた背景には
宗教観あるいは生死観の変遷ではなかろうか。

たとえば今は仏教の信仰やそれに基づいた
生死観がほとんどなくなったと言っていい。

戦後の教育を受けた人はほとんど仏教の
死後の世界なんか信じていないだろうし、
葬式の意味も分からなくなっているようで、
自分の菩提寺すら知らないものが多い。

またお寺はお寺で葬式仏教に専念し、
仏教的人間観や死者に対しての儀礼などを
檀家に伝えていくなどと言うことには関心がない。

人間死んだら無になるという即物的な
科学観もあずかっているのだと思う。

死んだ後のことなんて知ったこっちゃねぇ
家族や友人にみとられる必要も家族の墓に
入る必要もない、と現代的科学観を
もっている人は結構いるはずだ。

だからいたずらに無縁仏はカワイソーと言ってみたところで、
仏教的信仰がないのだから情緒的な脅迫にしかならない。

私たちの社会が生前の無縁社会を
選択していったにも関わらず、死後の葬り方、
世の去り方を決めていなかっただけではなのだろう。

ヒサンダーと思うのは死に付随する感情であって、
たとえ家族や家族の墓があろうと私たちが
死という悲惨さから逃れられることはない。
全ての人は必ず死ぬの、というのはどうあがいても
変えられざる事実だから。

新しい現代社会は死の葬り方を
開発していなかっただけではないのか。

現代社会は死を病院や葬儀場に隠したがゆえに
むきだしの孤独死に出会って驚いているだけだ。

つまり現代社会とは制御できないものを隠し
不都合や不快を誤魔化し、先送りの産物なのだ。

過去の考え方で、変化した社会のありように
嘆いても仕方がない。

無縁で死ぬのは悲しいという思いはひと昔前の
家族や血縁、あるいは仏教の死後観があったときに
成立した思考の在り方だから
無縁社会は無縁社会なりの人の最期の在り方、
死の作法、あるいはシステムといったものを
生み出す必要があるということだ。

信仰なき現代人は用意なしに日常の世界に
非日常的な死をもたらしたがゆえに衝撃だったので、
だから現代社会は死の隠し方や
悲しみの儀礼を開発しなければならないのは自明だ。

ゆまり死は現代社会から隠されていたから、
われわれは面食らっているだけなのであろう。

死とは最近まで家族に囲い込まれるものであり、
家族によって責任が求められたものであった。
しかし近年、政府の年金や医療、介護などなどの
社会保障にどんどん介入し
それによって進んでいく個人孤立化によって
家族の紐帯、責任は断ち切られ、機能しないものになった。

いわば「死とは誰のものか」
という問いが再浮上したのだ。

無縁死は家族や親族によって死の責任が
もたれなくなった社会のはざまからこぼれ落ちて
きたものだろう。
近代の流れは人の老後や健康、生活は政府が
面倒を見るべきだという考えで流れてきており、
無縁死も政府が面倒を見るべきだ、
個人の死とは政府に責任がもたれるべきだ
という流れになりそうな気がする。

個人の生や死は家族のものであるという
無言の原理原則があったからこそ死は
家族によって見送られたのだ。
それを死まで政府の責任にすれば政府の財政は
またまた圧迫されるだろうし、
厄介な法律を生みださなければならなくなるだろう。
(現実的には不可能だろう)

そして貧困になった政府に人の死の面倒も見れなくなり、
道路や公園に行き倒れの死が放置されるようなことが
起こってしまうかもしれない。

家族に死が囲い込まれることが機能しなくなった
社会は死や生が個人のものでしかなくなったことを
あらわしているのかもしれない。
それが無縁死として顕在化してきたのだ。

人は必ず死ぬ、それは明日かもしれない
10年後かもしれない、でも必ず人生は
死というゴールの向かって一歩ずつ進んでいる。

繰り返すようだが自分の死のシナリオは
自分自身で、少なくともラフスケケッチくらいは
描いておきたいと思うのだ。

ボクはどこか秋の紅葉した美くしい山中で
誰にもみとられず静かに一人で死にたいと思っているが、
実際はそうまくいかないのかもしれない。

いっそイかつてのギリスのように
ゆりかごから墓場まで政府が面倒見たらいかがかな
posted by ぽらん at 12:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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